音読

たぶん日刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

今年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

一緒に遊んだことのしるし

D87C828A-4DFC-4378-8C66-60867E918456

子供たちと一緒に、太秦映画村へ行ってきた。

今エヴァンゲリオンとコラボをしていて、施設内に大きな初号機が鎮座しているらしく、エヴァンゲリオン好きな廉太郎に「連れてって」と言われたのだ。京都に住んでずいぶん経つけれど、映画村の中に入るのはこれが初めてだ。

 

行きのバスの中、スマートフォンで映画村のウェブサイトを見て予習をする。

エヴァンゲリオンとのコラボカフェやお土産屋さんがあったり、仮面ライダーとキラメイジャーのショーもあるらしい。それで、隣に座っていた仮面ライダー好きの朔太郎に「仮面ライダーいるらしいよ」と話しかけたら、とても嬉しそうに「かめんらいだーみよ!」と大きな声で返事をされた。「しずかにね」と言うと、そばで立っていたお姉さんと目が合って、にっこり笑いかけてくれた。

 

 

映画村に着いた途端、子供たちが「おー!」と声をあげる。

目の前には、時代劇で見るような町の風景。

遊園地やアミューズメントパークに慣れていないので、アトラクション小屋や食べ物を売っている屋台にいちいち反応してキョロキョロしてしまう。

まずはエヴァンゲリオンを観に行って、13時から仮面ライダーを観に行こうと話しながら、さっそくみたらし団子を買い食いする。

 

大きなエヴァンゲリオンが見えると、子供たちがまた「おー!」と声をあげた。初号機の手のひらに乗って写真を撮り、中にも入ってみたいなぁなどと話す(予約でいっぱいで入れなかった)。

廉太郎が「エヴァのグッズを買ってほしい」と言うのでお土産屋さんに入ると、キャラクターの描かれた限定グッズがいろいろ置かれていた。

キーホルダーとか、絵葉書とか、八つ橋とか、ジグソーパズルとか。目移りする子供たちに「1000円までならいいよー」と言って、それぞれの物を選ぶのを待った。

 

その間、次はなんのアトラクションにしようかなと考える。

仮面ライダーのショーまで時間があるから、ふたつくらいは行けるかもしれない。

廉太郎は謎解き迷路をしたいと言っていたけど、朔太郎は楽しめるだろうか。

お化け屋敷は朔太郎が怖がるだろうから無理だし、忍者屋敷とやらならいけるのかなぁ。

というか途中で昼ごはんも食べさせないといけないし……

などと、地図を見ながら逡巡していたら、ぬいぐるみコーナーで悩み中の廉太郎に、

「お母さんは何か買わないの?」

と聞かれた。

 

「私は別にいいよ」

と笑いながら返すと、廉太郎が「お母さんの好きな綾波レイやで!」と、レイのぬいぐるみを指差して教えてくれた。

朔太郎も「おかあちゃん、あややみれいやで!」と言う。

 

「私はいいから、ふたりは何にするの」

と尋ねると、ふたりは使徒のぬいぐるみを買うのだと言った。同じものにするのだという。

「じゃあ買っておいてあげるから、ちょっと待ってて」

それでレジの前で並んでいたのだけど、ふと思い直し、綾波レイのぬいぐるみを手に取った。コロコロしていてかわいいなと思い、これをすすめてくれた子供たちにちょっと笑ってしまう。

全部で三つのぬいぐるみをレジに出し、お金を支払った。なんだか、もうひとり子供がいるみたいだなと思いながら。

 

 

はい、と言ってぬいぐるみを渡すと、ふたりはとても喜んでいた。

「おれ、エヴァのグッズ、めっちゃ欲しかった」

と廉太郎が言い、「さくたろうも!」と朔太郎が言った。

 

「見て、ママも買っちゃった」

そう言ってレイのぬいぐるみを見せたら、「おー!」と子供たちがまた声をあげる。

さっそくカバンにつけたら、「いいねー」と廉太郎が言い、「かわいい〜」と朔太郎がぬいぐるみにほおを寄せてきた。

「さくたろうもつけたい」と言うので、上着のジッパーにつけてあげた。服からぶら下がる使徒を見て嬉しそうだ。

 

 

「次、どこいこっか」

子供たちは口々に「ここに行きたい!」と言う。それで子供たちの行きたいところへとついていったのだけど、カバンにぶら下がる綾波レイを見ながら、ふと「自分はどこに行きたいかな」と考えた。

 

そういえば子供たちと遊びに行くとき、わたしはいつだって「なんでもいいよ」「好きなことしなよ」と言っていた。

それはそれでよかったのだろうが、一緒になって夢中になって遊んでもよかったのかな、と思う。

現にいま、綾波レイのぬいぐるみをカバンにぶらさげたわたしは、なんだかウキウキしている。自分の好きなものを選んで、身につけるたのしさを、子供たちと共有している。ディズニーランドでミッキーの耳をつける人も、こんな気持ちなのかな。

 

ひとしきり子供たちの行きたがった場所に行ったあと、最後にわたしから

「ここに入りたい」

と提案した。「レーザーミッション 脱出の城」というアトラクションだ。

なんとなくおもしろそうだなと地図を見たときから思っていたのだけど、子供たちも賛成してくれた。
「お母さんがなんかやりたいって言うの珍しいな」と言いながら。

 

その城はちょっと朔太郎には早かったらしく、アトラクション内で「こわい」と言って号泣してしまったのだけど、わたしは見事脱出がかなって嬉しかった。脱出できたとき、廉太郎とハイタッチしたくらいだ。

 

そっか、一緒に遊ぶって、お互いがしたいことを一緒にすることなんだなと思った。

大人だからと思って子供に合わせていたけれど、合わせてもらうのもとても楽しいものなんだなと。

 

 

廉太郎が帰ってから「今日すごく楽しかったな」と言ったので、わたしはいつものように「楽しかったならよかった」と言ったあと、「ママも楽しかったよ」と付け加えた。

 

子供たちとお揃いのぬいぐるみは、一緒に遊んだ思い出のしるしになった。並んでいるのを見ると、なんだか優しい気持ちになる。

 

2020年12月のアーカイブ

これまでの連載