音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

ごめんね

蜀咏悄 2

2歳を過ぎると、性格がだんだんわかってくるように思う。

れんたろうはマイペース。

集中しやすく、凝り性。

手を出すほうでも、出されるほうでもなく、

ちょっと離れたところからそのいさかいを見ている。

自分は他の子たちといさかいをしないと決めているようで、

離れたところでじっくりとひとり遊んでいる。

叱られ慣れてないのか、叱られるとすぐにへこんで泣く。

頑固で、なかなか謝らない。

 

私によく似た性格のように思う。

私も友達と何かを取り合ったり分け合ったりするのがいやで、

本当は三輪車で遊びたいのに人気のないぱっかんぱっかん

(て言うんですかね?空き缶にひもつけて、竹馬みたいに歩くやつ)

で毎日毎日遊んでいた。

そうじは一人で黙々とできるぞうきん係を必ず選んだ。

プライドが高く、叱られること自体が理不尽に思えてなかなか謝らなかった。

 

れんたろうは「ごめんね」が言えない。

水をこぼしても、私の顔を叩いてしまっても、

「ごめんね」を強要するとますます言わない。

最初はいらいらしていたんだけど、

れんたろうと私が同じ性質なのであれば

どのように言われると「ごめんね」を言いたくなるだろう?

と、自分のこととして考えるようにした。

 

そして、

「ごめんね」という自分が折れることがゴールだからいやなんだ、

「ごめんね」を、「仲直り」へと導くツールだと思わせたらいいんだ、

と思った。

 

なので、険悪なムードになったらまず、

「こら!」と怒る。「だめでしょ!」と、れんたろうにそれはだめだよ

と伝える。

れんたろう、泣く。

ここですぐ「ごめんね」を求めるのではなく、

「仲直り」をすることにした。

 

「なかなおりー」と言って抱きしめる。

そして「ごめんねは?」と聞く。

「ごめんねを言ったら、なかなおりーだよ」と言う。

 

これは効いた。

れんたろうは決して言わなかった「ごめんね」を言うようになった。

「なかなおりー」と言ってぎゅっと抱きしめると、

腕の中で「ごめんね…」とつぶやく声が聴こえる。

その瞬間、「与えよ、さらば与えられん」という声が天から聞こえた。気がした。

 

 

日々一生懸命、想像している。

どう言えば、この子はトイレで排泄するだろう?

どう言えば、今やってる遊びをやめて食卓についてくれるだろう?

どう言えば、歯磨きをする気になるだろう?

 

怒っては火に油である。

全然解決しないどころか、体力は消耗する一方だ。

 

「こうすれば、もっと素敵な未来が待ってるよ!」

と、親が子に教えることができさえすれば、

子は勉強だって運動だって、お手伝いだって

楽しくやるようになるんじゃないかしら。

 

子は自分である…

と思えば、

なるべく怒られたくないはずだってわかるから、

なるべく笑っていてほしいと思うから、頭を使う毎日です。

 

 蜀咏悄 1

 

アルパカの帽子をもらって嬉しそうなれんたろう。

脱がそうとしても嫌がるので、

「アルパカちゃんが行ってらっしゃいって言ってるよ」と

頭上で耳をぱたぱたさせてやると、

見たがってようやく脱いでくれた。

このまま保育園に行くのかとひやひやしていたので、

自分に「グッジョブ…」とつぶやく朝であった。

 

 

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