音読

一日一曲 日々の気分で一曲をチョイス。 書くこと無くても音楽がどうにかしてくれる! そんな他力本願なブログです。

書き手:プロフィール

第57週  永遠に美しく / the coopeez

 

ゆらゆら帝国に『バンドをやってる友達』という曲があって、

それを初めて聴いたのは高校生のときだったと思う。

そのときバンドをやってる友達はわたしにはいなくて、

歌詞カードを開いてその曲を聴きながら、

いつかわたしにもそういう友達ができるのかな、と思っていた。

 

「友達がいる 夕べステージで

君は歌ってた まるでスターのように

恋人の歌 バンドがやってた

僕はその歌 すごくいいと思った

 

初めてギターに触れるような

本当に恋をしてるような

今すぐ何かやれるような

そんな気分さ」

 

 

会社で隣の席に座っているさとしくんは、

the coopeezというバンドでベースを弾いている。

平日は仕事をして、土日はライブをよくしているようだ。

「休み中何してた?」

と聞くと、ほとんど「ライブだった」と返される。

わたしはまだ、 the coopeezのライブを観たことがない。

だからさとしくんがどんなふうにベースを弾くのかも知らない。

YouTubeで動画を検索して

「こういう音楽を作っているのか」

とこっそり陰で聴くばかりだった。

 

さとしくんと、星野源のライブを観たことがある。

星野源のライブはすごくよかった。

「すごかった」「すごいものを観た」

とわたしたちは口々に言い合った。

モノレールの中で、さとしくんと話をした。

内容はあまり覚えていないけれど、

「星野源は、音楽に対する気持ちがめちゃめちゃ強いのだろうね」

みたいなことを話したと思う。

「認めてほしいとか、かっこいいと思われたいとか、そういうんじゃなくて、

いい音楽をつくりたい、いいかたちでひとに渡したいという欲が強いんだろうな」

みたいな話をした。

純粋に、ただこの世に音楽があることを喜んでいる、みたいな。

モノレールを降りて、さとしくんとはすぐに別れた。

さとしくんはこれからバンドの練習なのだと言っていた。

 

わたしが文鳥社という出版レーベルを立ち上げ、

今作品を作っているのだという話をしたとき、

前々から聞きたかったのだけど、とさとしくんが言い出した。

「土門さんはどうやって書いているの?

自分の中に世界があって、それを言葉にしていく感じなの?

それとも、こういうものを書こうと思って書いていくうちに形になる感じなの?」

僕は言葉で何かを作ったことがないからなあ、というさとしくんに、

わたしは

「そっくりそのまま同じことをさとしくんに聞きたい」

と答えた。

「わたしは音で何かを作ったことがないから、

さとしくんたちがどうやって音楽を作っているのか皆目見当もつかない」

と言うと、「ほんまやなー」と言ってさとしくんは笑った。

 

先月さとしくんのバンドが、4枚目のアルバムを作った。

MVもあるとTwitterで知り、またこっそりとYouTubeで観た。

「今度はこんなのを作ったのか」

その曲は『永遠に美しく』というタイトルで、

わたしはその曲をすごくいいと思った。

 

隣の席のさとしくんに2500円を渡して、アルバムをもらった。

家に帰って、ビニルを破いて、CDを再生した。

歌詞カードを見ながら聴いていたら、

ゆらゆら帝国のあの曲の、あの歌詞を読んでいたときの光景がフラッシュバックした。

 

「初めてギターに触れるような

本当に恋をしてるような

今すぐ何かやれるような

そんな気分さ」

 

手がうずうずして、わたしも書きたいなと思った。

そういう気分にさせてくれる友達ができてよかったなと思う。

 

 

text:土門蘭

これまでの一曲

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2017.11.13 第63週 ふろしきひろげてたたまない | Chicago / Sufjan Stevens