音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

これから

今日は選挙。夫が「誰よりも先に投票したい」と言う。

なぜかと言うと、投票所にいちばんに到着した人は、

「投票する前に箱の中身を見て、何も入っていないかどうか確認してください」

と言われるということで、それを言われたいのだそうだ。

「大役やで」と言う。すごくどうでもいい。

そして起きたときにはすでに投票開始の時刻はまわっていた。

着替えてからすっぴんのまま出かける。れんたろうは夫が抱っこ。

 

私はこれまで投票に行ったことがなかった。

政治に対する興味と知識がまったくなく、投票は政治をわかってる人がやればいいと思っていた。誰もいいですよ、任せますよと。ほんとーにどうでもよかった。

でも3・11以降、徐々に意識が変わっていった。

この人たちに任せて大丈夫なんか?という不信から、

情報を集めてみたり友達や夫と話し合ってみたり。

twitterでは「選挙に行こう」の呼びかけが連なっている。

 

投票用紙に名前を書く時、一瞬迷った。

前日に自分なりに戦略なんかも考えて決めたはずなのに、

結局自分の考えにいちばん近い人、たぶん絶対当選しないであろう人、

前日に入れようと思っていた人とは別の名前を書いた。別の党を書いた。

それが良かったのかどうか、わからない。でも妙な達成感があった。

国の未来に直接ふれている感じがして気持ちいいと思った。

 

 

昼過ぎに京都市役所前に行った。

友達から「反原発デモがあるから、もし時間があったら行ってみて」とすすめられたのだ。

私はこれまでデモにも行ったことがない。

むしろ夏ごろまではデモに対するちょっとしたアレルギーのような

反発心まであった。生理的なもので、ちゃんとした理由なんてない。

その漠然としたかっこつけが、原発問題に対する思考を停止させていた。

 

それを動かしたのは、今日デモを教えてくれた友人からのメールだった。

彼女はこれまでにもどこでデモがあるのか、逐一一斉送信でメールしてくれていた。

そこにはいつも、「うざくてごめんなさい」というひと言が書かれていた。

デモをうざったいとかうさんくさいと思う人は、私ふくめ若者には多いと思う。

でも、友達にうざいと思われても今大事だと思うことをしている彼女の姿勢に

私はやっと動かされた。それから自分なりに本やネットで情報収集してみて、

かっこつけてる場合じゃないなと思い始めた。

 

れんたろうをベビーカーに乗せて市役所前に行ってみると

まだ早すぎたみたいで10人くらいしかいなかった。

ベンチに座って様子を見ていたら

ふたつ隣のベンチにゆーきゃんが座ってぼーっとしていた。

ベビーカーを押して隣に座る。

ゆーきゃんと各地のデモの状況とか、選挙に対する考え方とかを話す。

みんな、普通にデモに来るんだなと思った。ふらっと来ました、みたいな格好。

3時ごろ、楽器の音とシュプレヒコールの声が聴こえてきて、

デモ団体が市役所前に到着した。そのデモ団体と合流して行進するらしい。

カラフルでお祭りみたいで、何だか愉しそうだと思った。

 

音が大きいので、私はれんたろうとその場で見送るだけにした。

「原発止めろ」「子供を守れ」と言いながら、みんなは歩いていった。

あれだけの事故が起こってもまだ、大飯原発は動いてる。

もし福島と同じ事故が起こってしまったら、私たちはここから出ていかなくちゃいけないだろう。

れんたろうがぱちぱち手を鳴らしながら笑っていた。

 

夜、れんたろうを寝かしつけて選挙の速報番組を観る。

自民党が圧勝していた。

 

 

 

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