音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

センチメンタルな感じで…秋

蜀咏悄

突然、高校のときの先輩から京都音楽博覧会に誘われた。

チケットがあまっているらしくて、れんたろうと私にそれを使わせてくれるとおっしゃる。

 

音博には一度も行ったことがなかった。

何となく苦手意識があった。

確か、私が大学3、4年くらいのときに第一回目の音博があって、

確か、そのときらへんで京大西部講堂でのボロフェスタは終わってしまったように思う。

私にとっての京都のフェスといえば、

どうしても今はなき「京大西部講堂でのボロフェスタ」で、

それと入れ違いくらいに生まれた音博に対して

何となく敵対心めいたものを持っていたのだと思う。

まったく的外れで、お門違いだけど。恥ずかしい限りです。

 

まあそれがほんのりと続いたまま何となく音博には行かず

社会人になり、母になり、

こうして子供を抱えて(タダで)遊びに行くこととなり、

不思議な気持ちではあった。そして不安でもあった。

 

最近では全然ライブに行ってなくて、

音楽もあまり聴かなくなっている。

音楽のフリーペーパーを作っているのにこんなことを言うのもなんだけど、

音楽を聴きたくない時期というのは存在するのだと思うしそれは私にとって今だ。

理由はいろいろある。

いろいろあるけど考えたくないので、考えないようにしている。

30頃ってみんなそうなのかしらん。

だから、フェスなんか行って大丈夫なんだろうかと、

少し不安だった。

 

音博に着いたらすぐに奥田民生が始まった。

「さすらい」と「マシュマロ」が聴けて嬉しかった。

やっぱり生はいいな・浸透感が違うな、と実感した。

奥田民生はかっこいい。

れんたろうを見ると、先輩に抱っこしてもらいながらのりのりに手を叩いていた。

「いえ~」とか言ってる。

楽しそうだ。

 

次はリップスライムで、

すばらしいエンターテイナーっぷりだった。

安心して楽しめる感じ。

れんたろうを見ると、よだれかけをぶんぶん振り回していた。

「いえ~」とか言ってて

やっぱり楽しそうだった。

 

彼自身は、このような場に来るのは初めて。

歌や踊りが好きで、うちでも自作の歌をうたいながら踊っているくらいなので、

青空のしたで音楽が聴けて踊れて遊んでもらって、とても楽しそう。

「あー、れんたろうも楽しめるイベントなんだな」って思った。

そして

「これから私はれんたろうとこんなふうに楽しんでいくんだな」と、

何か、目から鱗が落ちる思いだった。

音楽を聴くことは思いのほか楽しかった。

私は、自分が音楽をやらない人間なのに

よほど音楽を重たくとらえていることに気づき、

このようにのんびり楽しむ方法もあるのかとこの年にして初めて気づいた。

 

くるりの「ばらの花」を聴き終わってから、先に私たちは帰ることにした。

 

 

やっぱりどのフェスに行ったとしても、

「京大西部講堂でのボロフェスタ」と比べてしまう。

自分がスタッフとして関わっていたからだろうか。

観客と演者の境がなくなったような、

音楽と自分が一体になる感じを初めてつかめたのがあのフェスだったと思う。

場所の力もあるんだろうな、きっと。

埃っぽくて、壊れかけてて、真っ暗で足元なんかよく見えなくて、

何となく危険な、だからこそむちゃくちゃ魅力的な場所だった。

あそこには子連れだとさすがに厳しいよな、と思う。

今度は、れんたろうが大きくなって、

そういう場所を見つけるんだろうか、出かけるんだろうか。

 

楽しみだね。

それまではお母さんと遊ぼう。

 

 

音博楽しかったです。

先輩ありがとうございました。

 

 

 

2024年10月のアーカイブ

これまでの連載