音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

口癖

蜀咏悄

1歳9ヶ月を過ぎたれんたろうは、

話せる言葉やうたえる歌が増えてきた。

保育園に行けば「おはよー」と言うし、

ごはんを食べるときには「いたーっす!」(いただきます)と言う。

「いいよー」とか「うん」とか、返事もしてくれるようになってきた。

質問内容がわかっているのかはわからないけど。

 

このあいだ私がしたたかに酔っ払って転んで雨でずぶぬれになって(最悪)

帰ってきた翌朝のこと、

朝目を覚ますと私のほっぺたにれんたろうが全体重をかけてほっぺたを乗せている状態で、

「だいじょうぶ?」「だいじょうぶ?」と言っていた。

よほど心配だったんだと思う。

ものすごい自己嫌悪で吐きそうになった(ふつかよいもある)。

「だいじょうぶ…」と答えると

「だいじょーぶ!」と嬉しそうに笑っていた。

おかあさん、もう飲みすぎないよ。

 

話せるようになったとは言え、しょせんまだ一歳児、つめのあまいところも多々。

たとえばれんたろうは新幹線のことを「いっしいさん」と呼ぶ。

しんかんせん、と、いっしいさん。

イントネーションは一緒だが、なぜしんかんせんがいっしいさんになるのか全然わからない。

何度「新幹線だよ」と教えてもなおらないので、

我が家ではもはやれんたろうの愛する新幹線のおもちゃは「石井さん」と呼ばれている。

きのうもれんたろうは寝るときに、

「いっしいさん?いっしいさん?」

と石井さん(新幹線のおもちゃ)を探し回っていた。

でもなぜか全然見つからなくて、

「いいかげん寝なさい」と電気を消すと、

「いやあああ、いっしいしゃああん」と泣き出した。

探しても探してもないので、

暗闇のなかで探しているうちに寝てしまうれんたろう。

数時間後、寝言で

「…いっしいさん…」

とつぶやいてもぞもぞ手を動かし、

夢のなかでも探している様子なので不憫になって

そっと安物のほうの新幹線(こちらは石井さんではないらしい)を

小さな掌の上においてやった。

今朝台所に立つと、空になった炊飯器のなかに石井さんはいた。

米と一緒に炊くぞ!と思った。

 

お気に入りの歌は、「まいごの子猫ちゃん」である。

歌詞はうやむやで、

「にゃんにゃんにゃにゃーん」と「わんわんわわーん」のところだけしかちゃんとうたえないのだが、

「おうち~を聞いてもわからない~」の「わからない~」のところで

必ず両手と頭をぶんぶん振るのがおもしろい。

ナイスジェスチャーを見たくてよくうたってやる。

 

そういえばこのあいだ保育士さんに

「れんちゃん、最近『もーいやっ』って言いませんか?」と言われたので、

「いえ、聞いたことないですよ」と言うと、

「今、園で『もーいやっ』って流行ってるんですよ。○○ちゃんの口癖がみんなに伝わってしまって…。このあいだれんちゃんも言ってるところを見たから、もしかしたられんちゃんにもうつっちゃったかなって思ったんです」

ということだった。

「『もーいやっ』って、○○ちゃんのママがよく言ってるんだろうなあ…」

「イヤイヤ期で大変だもんなあ…」

と、そこにいるみんなが思ったと思う。

これは…と私は思った。これはやばいな。

子供は真似するんだな、ほんとに。

 

最近れんたろうのレパートリーに増えたのは

「いいね~」と「おいしそうだね~」と「そうなん?」と「すごいね~」で、

全部私の口癖というか、れんたろうによく言うことだ。

件の「大丈夫?」もよく言う。

そうかこれは全部私のコピーなのかと、

れんたろうを自転車に乗せた帰り道で思った。

 

れんたろうの前で夫婦喧嘩をしたり愚痴ったりするのを控えようと本気で思った。

嬉しいことや楽しいことを多めに口に出すようにしよう。

それがれんたろうにコピーされれば、

我が家に嬉しいことや楽しいことが倍増する気がする。

 

蜀咏悄

 

何でもまねしたい年頃ですからね。

 

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