音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

女と仕事

れ

引っ越しの準備で本を整理していたら、

大学3年のときに友人から借りた本が出てきた。

もう7年くらい借りっぱなし。

このあいだも8年借りっぱなしだった松尾スズキの本を2冊と

1年ほど借りっぱなしだったもしドラ(ちゃんと読んだよ)を、郁ちゃんに返したばかり。

お詫びに瀧波ユカリの「はるまき日記」と松尾スズキの「演技でいいから友達でいて」をつけた。

「はるまき日記」はえらく好評だったのでまだ読んだことのない人も読んでみたらいいと思う。

 

その友人に何を借りていたかというと江原さんの「愛のスピリチュアルバイブル」なのだが、これは当時失恋に苦しんでいた私のために友人がまた貸ししてくれたものである。

「これを読んで恋愛とは何たるかを知れ」ということだったのだろうけど、

私はそれを紐解く前に新しい恋を始めていたのですっかりその存在を忘れていた。

反省してさっそくその持ち主(というか彼女も借主なのだが)である友人に連絡をとってみた。

 

彼女と連絡をとるのも7年ぶりくらいだ。

向こうはいきなりのメールに驚いていた。

今は結婚して和歌山のはずれに住んでおり、寿退社をしたため専業主婦なのだという。

近々地元である大阪に帰るから、そのときに会おうという話になった。

ちなみに本は「そんなん貸してたっけ?忘れてたしもうええよ、返さなくて」と言われた。

すみませんでした。

 

れ

 

 

 

 

 

 

阪急で高槻市まで出かける。

久しぶりに会った友人はまったく変わっておらず、改札口ですぐにわかった。

向こうも私を見て「全然変わっていない」と言う。

甥が三人もいるらしく赤ちゃんに慣れている彼女に遊んでもらい、

れんたろうは始終機嫌がよかった。

 

マンションにお邪魔して喋るわ喋るわ、気づいたら夕方だった。

彼女とずっと話していたのは、「女と仕事」ということ。

彼女は学生時代Wスクールに通ってある資格をとり

夢であった職業に就いて1年間働いていたのだが、

旦那さんの転勤のためやむをえず退社することになってしまった。

これからさきも転勤の多い彼と一緒に暮らすのならば

彼女が資格をいかして正社員として働くことは難しいだろうという。

だから関係のない職種のアルバイトしかできないと思う、とのこと。

「そ、それってもったいないのでは…」とおずおず言うと、

「でも仕方ない、どうせ子供が生まれたら辞めなあかんし」

と言っていた。産休などをとれるような職場ではないらしい。

夫の転勤とか、出産とか育児とか、

女はずーっと同じところで働き続けるというのがなかなかしにくい。

それは時に大きなストレスとか虚無感とか焦燥感を呼び起こす。

これまで培ったキャリアがすべて無駄になったような気分。

 

でも、私は最近「育児は一大事業なのだ」と考えるようになった。

これは私の最重要任務の仕事なのだと。

だから育児で社会から断絶されてるとか、

みんなよりも遅れをとってるとか考える必要はないのだと思うようになった。

毎日私もきちんと働いている。これもキャリアだ。育児も立派なお仕事なんだと思うようになった。というか、思うようにしようと思うようになった。

お給料をもらえるわけではないけど、立派なお仕事。

 

そんな話をしたら、

彼女は「子供を育ててみて初めてわかることだと思うよ、それ」と言った。

 

おやつはフォンダンショコラだった。おいしかった。

 

 

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