音読

たぶん週刊ランラン子育て帖

どもんらんってどんな人?

2012年の1月、音読編集部のもとに赤ん坊が生まれました。名前はれんたろう。「にゃあ」というなき声がチャームポイントの男の子。新米ママ土門、今日も子育てがんばります。

お久しぶりです

蜀咏悄 1

最後に更新してから1ヶ月以上、このブログを放置していた。しかもその最後の記事がそうとう参っているふうだったからか、友達から「大丈夫?」「生きてる?」というメールを数通いただいたのだけど、そのメールにすらもなかなか返信が書けない日が続いた。

このパソコンもほとんど1ヶ月ぶりに開く。ずっと放っておかれていたからか、めちゃくちゃ動きが遅い。

 

4月の終わりごろ、完全にダウンしてしまった。

職場に復帰してから2週間くらいしか経っていないのに、体調が悪い日が続いて、それぞれ専門の違う4件の病院をはしごした。

頭痛、蕁麻疹、耳鳴り、不眠、手のしびれ、めまい、発熱、腹痛、乗り物酔い、情緒不安定。

からだ中がストライキ、っていうかもう暴動。

「休ませろや!ばか!」って言ってるみたいだなあと、ぼんやり。

でも、れんたろうの発熱で休んだり早退したりと、すでに職場に迷惑をかけていたので、

これ以上休んじゃいけないと思っていた。だからがんばった。

 

疲れて仕方がないはずなのに、朝4時には目が覚めてしまう。

横になっていればいいのに、何かに追い立てられるように起き上がって、家事や仕事をしてしまう。一時もじっとしていられなかった。別にしなくてもいいのに床をぞうきんで磨きだしたり、頼まれてもいない資料を作ったりと、まあちょっとネジがはずれたというか、いっちゃってたというか、何かおかしかったんだと思う。れんたろうにもいらいらして仕方なかった。「もう泣かないでよっ」と大きな声で言ったときもあった。

夫はそんな私を心配し、もちろん私がばたばたと働くのを止めようとした。でも私は「やらなきゃ」と思い込んでいるのでやめない。「倒れるまでやる」と言ったら夫に怒られた。

今思うと、「あは。頭おかしいな」と笑えるけど、そのときはいっぱいいっぱいだった。毎日、泣けて泣けてしかたなかった。泣きながらぞうきんがけしてた。

 

お医者は「睡眠不足がいちばんの原因」と言った。薬を飲んで昼間寝てください、そしたらよくなりますよって。乳離れができていないのと、慣れない保育所生活でストレスのたまっているのとで、れんたろうは夜何度も泣いて私を起こす。それで一切熟睡というものができていなかったのが原因とのことだった。

「とりあえず、休職してください。休めますか?」と、診断書が出された。

 

保育園の先生がたに休職することを伝えたらすごく心配してくれて、れんたろう君はしっかり預かりますからお母さんはゆっくり休んでください、と言われた。

「働くお母さんには多いんです。でも、皆さんぎりぎりまで我慢するから、治療に何年もかかることもあるんですよ。あなたはすぐに病院に行って休むって決断してえらかった。お母さんのからだがいちばん大事です」

園長先生がそう言ってくれた。

 

休み始めてからはずっと申し訳なくて情けなくて、「自分は弱い」とか「迷惑かけてばかり」とか、果ては「自分のこれまでの社会人生活って何だったんだろう」「自分のこれまでの人生って何だったんだろう」「全部無駄だった」などとくよくよ悩み始め、いつもいつも泣いていた。

 

耳鳴りがするから音楽も聴けないし映画も観られない。気持ち悪くなるから文字も読めない。人と自分を比べてしまうのでfacebookやtwitterもしたくなくなって、いつも楽しみにしていたブログも読めなくなっていた。

でも何もしていないとどんどん自責の念に駆られる。だから眠れないときにはマンガの猫村さんを読んでいた。

空白の多い猫村さんならまだ読むことができた。眠れないときには、書き込みの少ない・頭の疲れないマンガを選んでそればかり読んだ。

 

ほんとに、必要最低限なこと以外何もしない日々だった。

それでも1日が過ぎるのがすごく早かった。

れんたろうを保育園へ連れていき、ぼーっとして、気づいたらお迎えに行く時間になっていた。

 

結局、会社は辞めることにした。

理由は体調のことだけではない。自分の人生を改めて考えた結果で、だ。

5年いた会社をこんな形で辞めるのはすごく残念だったし申し訳なかった。

「もっといい終わり方にしたかった」と、またもくよくよ泣いた。

でも、ここで辞めたほうがいいって、すっかりわかってしまってはいた。

 

今日は、調子がいい。たぶん晴れたから。

雨が降る前がいちばん体調が悪くなることがわかった。頭が痛くて、めまいでふらつく。虫歯の治療あともずっくずく痛む。耳鳴りもわんわんひどい。

今、専用のアプリで毎日自分の体調の記録をつけている。とても便利。グラフで見るとわかりやすいし、自分について客観的になると安心できるということがわかった。

ちょっとずつ、自分の今のからだを受け入れている。きっと、私はずいぶん変わってしまったんだろう。この1ヶ月。あるいは妊娠してからのこの2年のあいだに。

 

今日は昼過ぎに、れんたろうとふたりで近所の公園に行った。

私はタイヤの上に座って、れんたろうの遊ぶ姿を見ていた。

よちよちそこらへんを歩いては止まり、いきなり笑い出しては手をたたき、また歩き出してはこける。泣かないで両手をついて立ち上がる。また歩き出す。

ジャングルジムのなかでうろうろするれんたろうの横で、私は上のほうにつかまりぶらさがった。

久しぶりにこんなことをした。自分のからだはこんな重さだったんだ、自分の手はこんな握力だったんだ、と思う。

それから唐突に、衰えたなあ、と思った。この子を産み出して、私のからだは確実に衰えた。

でもそれは悲しいことではなかった。こうして私は年をとっていくんだと、とても自然に理解できた。

ぶらさがる私を見て、れんたろうが笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、家事を終えて部屋に戻るとれんたろうが立ったまま寝ていた。

この子は驚くべき速さで大きくなる。

 

 

 

 

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