音読

俺のFavoriteTunes

どもんらんってどんな人?

音楽が生活をスムーズにしてくれる。
皿洗いや月曜日の出勤だってきっとスムーズにしてくれる。
芸能人と結婚したら「会社員の一般男性」と紹介される俺が、生活の様々なシーンに合わせて選んだお気に入りの曲をコンピレーションアルバムとして紹介します。
普段は一人称「俺」ではないし、芸能人と結婚する予定もないですが。

100年後。

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100年後のことを考える。
来年のことを言っても鬼が笑うのに、100年後のことなんて想像すると自分でも笑ってしまう。

 

高校の後輩であり、音読副編集長の土門 蘭が出版社を立ち上げ、一冊の本を作った。
『100年後 あなたもわたしもいない日に』
彼女の短歌に寺田マユミさんがイラストをつけた、歌集であり画集でもある作品集だ。

 

タイトルこそがパンチラインでハイライトだと思う。
何といっても本当に100年後あなたもわたしもいないだろうことがいい。
当たり前のことを言ってるだけなのに、耳触りのいいキャッチーなフレーズなのに、これだけ心に響くというのがいい。

 

彼女の選んだ言葉がとても好きだ。文が好きだ。彼女の子育てブログも、音楽ブログも好きだ。
子育てなんてしていないのに、ブログを読めば子育てという経験の中で得られる成長を少し借りられる気がする。
彼女の文を読むといつも気付きがあり、ハッとさせられる。
それを生み出す力のいくらかは言葉の選び方が影響していると思う。

 

どちらかといえば、
と前置きをしておくが、
彼女は奔放な女性に思える。

 

ものすごく親密で頻繁に連絡をとっていたわけではなく、空白が年単位になることもあるが、
高校1年生と2年生で知り合った頃から比べるとほぼ2倍の年齢に達しているわけで、もうだいぶ長い付き合いになる。

近頃は誰もが奔放なのだ、と言われればそれまでだけど、彼女の奔放さはこの歌集にも表れていると思う。
それはこの本の中の彼女がいろんな面を持っているということ。
当たり前のことなんだけど、そこが奔放さを感じさせる要因のような気がする。

 

この本の中で彼女は、少女として、女として、母として短歌を詠んでいる。

母親としては憚られる歌を一人の女として詠み、少女では考えも及ばない歌を母として詠む。
その立場の翻りが彼女らしく、人間らしく、奔放なのだ。

 

以前、植本一子の『かなわない』を読んだ時に土門 蘭が思い浮かんだ。
妻として、母として、カメラマンとして、女として、色々な立場の植本一子の姿が日記という形で記録された本で、

例えば、子どものために放射能を気にしたり、きつく当たって物を投げてしまったり、夫に子どもの世話を任せて好きな男のところにいったり、そんなことが赤裸々に書かれている。

土門 蘭のことを思い浮かべたのは、同じように廉太郎(長男)にきつく当たってしまった、自分のことを優先して傷つけてしまったというブログを読んできたからだと思う。

 

本当ならば隠しておきたいことや感情をさらけ出すことができるのは、母以外の自分もいて然りと受け入れているからこそだと思う。
多くの人は、母以外の自分を少なくとも人前に出さないように、母を演じなければと取り繕うはずだ。
取り繕わなさ。それがぼくが彼女を奔放と思う理由だ。
そして、それでもいいんだなと思わせてくれる説得力が彼女の書く文、選んだ言葉にはある。

 

100年後のことはよくわからないが、昔の人が21世紀に思い描いていた車が空を飛ぶ未来にはなっていない。

ただ、100年後のことは実は重要ではない。

タイトルの歌にも当然下の句があって、それをここで書いてしまうのはネタバレというものだと思うので書かないが、この本のテーマは「トリミング」で生活を切り取って生まれた言葉が短歌として収められている。

 

切り取られた日常がこんなにも美しいなら、われわれの人生は間違いなく美しい。

そう思わせてくれる本に触れて、選んだ美しい曲です。

No.1
木漏れ日の中の21世紀 (Original Ver.)/AFRA Feat. BOSE & ハナレグミ

しっとりと聴かせるハナレグミだけど、AFRAの曲なんだこれ。きみはぼくだけの太陽。

No.2
都合のいい身体/椎名林檎

ド派手なイントロが最高にかっこいいし、そこがこの曲のポイントだと思う。とにかく派手。デーハー。

No.3
新世紀のラブソング/ASIAN KUNG-FU GENERATION

入りのドラムのオシャレさがアジカンぽさとは違うんだけど、一番好きかもしれない。新世紀は21世紀なのかな。

No.4
人生一度/SOFFet

すごく悲観的な音楽なのかもしれないが、次の「たいせつ」との対比がいいなと思って。

No.5
たいせつ/SMAP

人生の大切な瞬間というのは日常の中にあって、それを切り取ることができれば幸せになれる気がする。

No.6
知りたい/泉まくら x mabanua

知りたい。知りたい。これは悲しいことなの。これは嬉しいことなの。

No.7
이 모든 거리의 감각/Wedance

やさしさのなかにドラムとベースが割れ気味に入っていて、すごく暴力的な印象。歌詞の意味はしらないが、タイトルは「このすべての距離の感覚」という意味(グーグル翻訳調べ)

No.8
愛の休日/柴田聡子

前曲からの曲調をひっぱりつつ、コロコロコロコロ転がっている。

No.9
Goodbye My Son/SAKEROCK

SAKEROCKの中で実は一番好きかもしれないMUDAとこの曲。この方が100年後も聴いていられる気がする。

No.10
History Maker/DEAN FUJIOKA

ユーリ!主題歌で、初めて聞いたときからなんてかっこいいのかと思ったし、ディーンのすごさに驚いたもの。ヒストリーメイカーというタイトルもすごい。

No.11
ベッドタイムストーリー/Jazztronik Feat. YUKI

子どもに絵本を読み聞かせるようなやさしい英語。意味はわからないけど。

No.12
ワンダフルワールド/SEBASTIAN X

変わった声のボーカルが魅力的だった今はなきバンド。ああ昨日より今日がいい。そして明日はもっといい。100年後はよすぎる。次曲に繋げるための選曲でもある。

No.13
あなたは太陽/蔡忠浩

bonobosボーカル蔡忠浩のカバーアルバムよりセルフカバーを。最初に選んだ曲。あなたは私の太陽。

No.14
赤とんぼ/三波春夫+コーネリアス

絶対的なボーカルと、歌そのものの持つ力。100年後にも届くだろうと思う。

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